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ガリレオ式双眼鏡 [双眼鏡]

ジャンク双眼鏡の、くもったレンズやプリズムの清掃をしているうちに(ポロプリズムユニットは反射面の汚れが複数累積し、拭いても吹いてもなかなか納得のゆくクリアさにならないのです)、クリアな光学系への渇望が生じ、一番視野の透明度が高いクリアな機種は何かと思うようになりました。高級なコーティングつきの高級機?、いやいや、レンズ構成枚数が少ないガリレオ式の高級機なら最もクリアな像が得られるのではないかと思いつきました。そしておそらく安いし(*^^*)。この際、視野の狭さは不問です。そこで、まず、きちんとしたメーカーの高級機に狙いを定め、Nikonの高級ガリレオ式双眼鏡muette 4×25をゲットしました(Yオク1.41K)。
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対物レンズ、接眼レンズとも複合レンズの高級機で、視界の抜けのよさは十分満足できるものでしたが、視野は激狭(25°位、ビクセンK20、50°と目測比較)です。目の位置を接眼レンズに近づければ視野は少し広がりますが、それでも30°未満です。星像は良好で、引き締まった点像になりますが、まるで穴の底をのぞき込んでいるかのようです。
さらにYオクで、対物レンズにカビのあるZeiss Diadem 3.5×30をゲットしました(6.5K)。カビあり品で、高すぎたかもと少々後悔しながらの落札でしたが、届いた双眼鏡はメッキのくすみや傷もなく、大切に取り扱われていたもののようでした。
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さっそく、カビのある対物レンズ側から分解です。分解は容易で、対物レンズはご覧のような2枚合わせでした。カビは無水アルコールで簡単に除去できました。接眼レンズは対物側と接眼側から綿棒で清掃しただけできれいになったので分解していませんが、十分クリアになりました。
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「王冠」を名乗っているだけあって、金メッキの質は素晴らしく、ゆとりある階層の女性の持ち物にふさわしい上質なたたずまいです。こちらは、muetteよりも倍率が低く、口径も大きいため、接眼レンズに目を近づけると、視野も40°弱はあり、視野のふちが不鮮明になるのはガリレオ式の宿命として仕方ないですが、中心部は、とてもクリアな見え味でした。星像も良好です。このDiadem時代のオペラグラスには、Theatis 3.5×15(接眼レンズはK、視野45°位)がありますが、大柄だが視界のクリアなDiadem、視野の広くてコンパクトなTheatis、と両者の存在理由は明確で、Zeissが併売していた理由もそこにあるのでしょう。
ワイドビノと比べてみると、Diademはワイドビノよりも視野が透明で、美しいです。ワイドビノはさすがに視野が60°位あり、広視界にするためには、このスペックが必要なようです。
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ガリレオ式の視野は、ほかの条件が同じであれば、対物レンズの大きさに比例し、倍率の2乗に反比例するという公式通りの結果となりました。旧日本軍の日本光学4×40というガリレオ式双眼鏡は十分実用となったそうなので(吉田正太郎先生の本による)、倍率と持ち運びの点からこのへんが限界のようです。

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ATM 11×80 双眼鏡をレストアする [双眼鏡]

今は亡き天体望遠鏡販売店、atomの11×80 双眼鏡 ジャンク品をゲットしました。全体に土埃にまみれ、右目の接眼鏡は欠品という超ジャンク品です。
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汚れがひどく向こう側が見えない状態とのことでした。こんなもの誰も入札しないだろうと思ったら、小さな競り合いがあって、2kになりました。
接眼部が欠品していて埃汚れのひどい(-人-)双眼鏡をなぜゲットしたかというと、手元にあるビクセン7×50ジャンクの接眼部回りが移植できるのではないかと思ったからです。そう思ってしまうと、実験してみたくなり、つい競り合ってしまったのでした。
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届いた実物は、予想通り土埃にまみれており、長期間半屋外に放置されていたようでした。左目側をのぞいてみると、汚れで、全く像が確認できませんでした。
さて、分解です。対物レンズは、対物レンズセル押さえのリングを外し、外套を取り去ると、対物レンズセルが筐体にイモネジ3本で固定されていました。
対物レンズを固定する6本のM2イモネジは、1本は舐め、2本不足でした。舐めたイモネジは、1.5mmドリルで除去しM2のタップを立ててねじ穴を再生しました。対物レンズは、アルコールで拭いたくらいでは、汚れが表面上を移動するだけで全くきれいにならないので、中性洗剤で水洗いです。ウォシュレットのように(´_`)下からシャワーをソフトに噴射して2面を洗浄しましたが、セルとレンズの間に水分が入り込むこともなく、洗浄効果は十分でした。対物レンズはコートハゲはあるものの大きな傷はなく、初めの汚れを考えれば十分クリアになりました。
プリズムハウス内にも埃が大量に侵入しており、小さな虫の死骸もありました(-人-)。ポロプリズムはユニットになっており、3か所の押引きねじで光軸調整をする仕様でしたが、ビスがさびており、CRC556を噴射して一日置いてから分解しました。

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ポロプリズムユニットはプリズムがユニット金具に接着されており、像の倒れは発生しない(あるいは調整できない)仕様でした。接着面以外を清掃すると、90%くらいは透明度が改善しました。若干の汚れクモリは、ほぼ夜空の見え味には影響しないので、像の倒れ再調整が必要になるプリズム接着面の清掃はしないことにしました。
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ここでビクセン7×50ジャンクの接眼部(視度調整部分が壊れていたのを修復)を取り付けてピントが合うことを確認しました。
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ここでピントが出ないと、今回の修復プロジェクトは即終了ですから、一安心。さらに接眼筒の太さが微妙に違うので、接眼筒もビクセンのものを移植することにしました。接眼筒は、ねじのピッチが違うので、紙やすりで少々ねじをまるめながら無事ねじ込めるようになりました。全体のほこり汚れを中性洗剤で掃除して、筒内のほこりやごみも掃除機とウエスできれいにしました。
組み立て作業に入ります。
プリズムユニット取り付けの段階で、平行器を使って、できるだけ正確に光軸を合わせておきます。わずかに像の倒れがある個体でしたが、これは調整できないのでスルー。おそらくはじめからのあったものと思います。プリズムユニット組み込みの段階で光軸を揃えておくと、対物レンズ固定の3本のイモネジで比較的容易に光軸を追い込むことができます。
M2イモネジは手元になかったので、モノタロウに注文し、とりあえず手元にあったM2ねじで光軸が出ていることを確認しました。
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さて完成後の見え味ですが、低倍率なこともあり、風景を見ても色収差が目立たず、十分な性能でした。接眼部移植の実験は、拒絶反応もなく成功です(*^^*)。
大きさから手持ち使用は難しいので、カメラ三脚での使用になりますが、使い勝手がよくないので、なんらかの双眼鏡の架台を製作する予定です。

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