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Zeiss telementor の対物レンズを清掃する [天体望遠鏡]

先日,相場よりかなり安く手に入れたZeiss telementor鏡筒は、約50年分(製造時のゆるみ止めが対物レンズセルに残っていたので、分解歴はないと思います)の汚れがレンズに付着しており、接眼部から長い棒の先につけた布で清掃をして、かなり汚れが取れたとはいえ、やはり汚れくもりが気になる状態でした。何とかして対物レンズセルを外そうと、鏡筒を温めたり、 CRC 556を流し込んだり、ベンジンを流し込んだり、プラスチックハンマーでレンズセル周囲の鏡筒に打撃を加えたりと色々試しましたが、全く緩みません。ほぼ分解不可能と思って諦めていたのですが、接眼ヘリコイドを取り外した穴からのぞくと、対物レンズセル後縁には、ある程度の厚みがあって、その部分を視認可能なことに気づきました。見えるレンズセル後縁なら、 接眼部から長い角材をレンズセルの後端に当てて木槌で打撃を加えてみたらどうだろうと思いつきました。レンズを直接叩いてしまうと大変なことになるのでしっかりとレンズまでの距離とレンズセル後縁までとの距離を確認しながら、プラスチックハンマーで角材をコツコツと叩いてみると、少しずつセルが動き始め、やっと分離できました。DSCN5545_R.JPG
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出てきた対物レンズセルをよく見てみると緩み止めのビスにつけてあった緩み止めの量が多くてレンズセルが鏡筒に固着していたことがわかりました。
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いずれにしても取り外せて一安心です。早速前と後ろからレンズを清掃し、わずかなカビ痕はありますが、50年分の埃と汚れをすっかり綺麗にすることができました。
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五藤光学6.5cm屈折用赤道儀をレストアする(3) [天体望遠鏡]

赤経軸には、MMDクォーツ改造品(ArduinoとEasy DriverでMMDオリジナルモーターを制御)を取り付けました。恒星時駆動と正逆転5倍速のモータードライブですが、実用には十分です。
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オリジナルの三脚は、やや細身で、腰高な感じですが、ねじれたわみは少なく、さすがに五藤光学製です。一か所石突きが取れていますが、割れもなく十分実用になる状態でした。
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テレスコープイーストのポジションでは、モーターと鏡筒が干渉する位置がありますが、Zeiss telementor鏡筒を載せてみると、バランスが良く、がたも少ない良い組み合わせになりました。

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五藤光学6.5cm屈折用赤道儀をレストアする(2) [天体望遠鏡]

欠品のM6クランプねじは、ラチェット機構付きの汎用品が安価に手に入るので、Amazonで注文しました。中国からなので、2週間ほどかかります。ねじ部分が長すぎたので、サンダーで削って調整しました。位相が調整でき、オリジナルのねじよりも、使い勝手は良いと思います。クランプの効きは良好です。
目盛環は、おそらく使わない(きちんと極軸を合わせた使い方をしないため)でしょうが、ないと格好が悪いので、破損している赤緯目盛環は、360°分度器を欠損部の補填にし、赤経目盛はCATさんで、たまたま商品があったので、赤道儀本体とほぼ同じ価格で(一期一会なので)購入し、さらに360°分度器で補強することにしました。これで1度刻みで読み取りができるようになりましたが、指標の線が太いので、読み取りにくい部分はあります。
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ビクセンプレートホルダーは、図のように二か所の穴を追加して、赤緯軸に固定しました。
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プレートホルダーの固定ねじは、オリジナルのものより1cmほど長いものに交換し、Zeiss Telementor鏡筒を固定できるようにしました。この鏡筒が、この赤道儀の正妻になる予定です。
赤緯軸のハンドルは、ポルタ用のプラ製のハンドルに直径6mmの鋼材を芯にして接着剤で固定し6mm-8mmのカプラーでウォーム軸に接続固定しています。
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五藤光学6.5cm屈折用赤道儀をレストアする(1) [天体望遠鏡]

Yオクで、五藤光学の6.5cm屈折用の赤道儀ジャンク品を3.2Kでゲットしました。この赤道儀は、当方が中学生のころ、理科室の備品としてあったものと同じ型です(天体望遠鏡を取り扱える先生がいなかったため、一度ものぞいたことがないまま卒業してしまいました)。
とどいた赤道儀は、鋳鉄製でずっしりとした重量感があり、しっかりとした作りです。
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赤緯軸のウォームホイルが固着して回すことができず、赤経軸もグリスが硬化して回転が大変渋い状態でした。クランプねじは、赤緯と水平回転部が欠品、ウェイト軸も欠品でした。目盛環は、赤経は欠品し、赤緯は破損した状態です。ウォーム軸はご覧のように錆び錆びです。
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出品者のご厚意で三脚も送っていただきましたが、一か所石突きが失われている以外は破損もなく、十分実用可能なものでした。
レストアに先立って、欠品しているものの手配です。M6クランプ、360°分度器、6mm-8mmのカプラーをAmazonで注文し、ビクセンのプレートホルダーと赤経目盛をCATさんから購入しました。
バランスウェイト軸は、ミザールAR-1のものがそのまま使用できました。
さて分解です。ねじがさびて固着している恐れがあったので、CRC-556を吹き付けておいて、2-3日たってから作業を始めました。
固着して動かない赤緯軸は、目盛環を外し、バランスウェイトシャフトねじ込み部を、固定ねじを緩めて、ウォータープライヤーで回すと無事に外すことができ、赤緯軸を本体から分離できました。
しかし、ホイールがグリスの硬化で赤緯軸に張り付いていたため外すことができません。これがウォームねじを回せない原因でした。ウォームねじを分解、分離し、パーツクリーナーを噴射したり、ドライヤーで温めたりして、固まっていたグリスをゆるめて何とかホイールを分離することができました。ウォーム、ホイールとも歯の破損や摩耗、変形はなく一安心です。ホイールは鉄製のようです。ウォーム軸がさびていても、内部は硬化しているとはいえグリスに守られていたので、さびはありませんでした。
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つぎに赤経部を分解します。こちらは固着もなく、スムーズに分離できました。ウォームホイルは赤経赤緯どちらも同じもので、歯数は126でした。
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パーツクリーナーと爪楊枝で古いグリスを丹念に除去し、モリブデン入りのグリスを塗布して組み立てます。
ウォームホイルのあたり調整は、三本の固定ねじを緩めると、ウォーム軸支持ラジアル方向を微調整でき、またウォーム軸の片方にスラスト方向の調節ねじがあり、ウォーム軸の遊びを調整する仕様でした。自動導入の予定はないので、手でウォーム軸を直接回せて、遊びがない程度に調節しましたが、比較的容易でした。

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TASCO 60mm f300mm天体望遠鏡セットを買う [天体望遠鏡]

いかにも買ってはいけなさそうな天体望遠鏡セットをYオクでゲットしました。3.1K。
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卓上三脚と、微動雲台、Or5mmとK20mmがついています。アクロマート30mm6倍のファインダーもついています。部品代だけでもお得な感じです。しかし、結論から言うと、付属品は良いが、本体は全くダメダメでした。
この望遠鏡をゲットした理由は、AliexpressでED 60mmF5レンズを110USDで購入していたので、それに近い完成品望遠鏡の対物レンズと換装すれば手間が少なくてOK?と考えたからです。
さて、年末間近のある日、望遠鏡が届きました。ものすごく立派なアクリル製のケース(かなり邪魔です)に入っています。付属品はそろっており、対物レンズが少々かびている程度で、ペンタックスK用のカメラアダプターも入っていました。
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組み立てて実視してみると、色収差も少なくそれなりによく見えます。早速対物レンズを取り外してカビ取りします。張り合わせなので、第2面のカビだけで、簡単にクリアになりました。しかし、この色収差が少ないのがこの望遠鏡の不誠実なところで、実はこの望遠鏡には対物レンズから7cmの位置に直径27mmの絞りが入っていたのです。計算すると、有効径は約36mmしかありません。道理で色収差が少ないはずです。また、ドローチューブ先端にも直径20mmの絞りがあり、著しく、有効径を絞ってありました。ということで、二つの絞りを除去。
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60㎜フルでも、Or5㎜60倍なら、色収差はあるもののそれなりに見えるので、初めから絞りなしで良かったんじゃないかと思います。ただし、絞りを除去すると、鏡筒、ドローチューブ内の内面反射がものすごく、コントラストが極端に低下しました。
さてEDレンズに換装しようと思ったところ、わずかにEDレンズのほうが大きく、セルに収めることができないことがわかりました。
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そこで、ホームセンターに行き、使えそうなものを物色、エアコンホース取り付け枠というのを買ってきました(410円)。この枠は、鏡筒にジャストフィットし、EDレンズも収められるだけの内径があります。この枠の内側に植毛紙と、ジャンク67㎜フィルターから取り外した押さえのCリングでレンズを固定し、鏡筒内、ドローチューブ内にも植毛紙を貼って内面反射対策にしました。フード先端のふたもついています。
このレンズの性能ですが、色収差は少なく、120倍(付属品のバーローレンズ使用)でも像が破綻しないので、優秀だと思います。
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チープな外観でも、結構実力のある、お手軽な卓上望遠鏡になりました。

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Zeiss Telementor 鏡筒をゲットする [天体望遠鏡]

Zeiss Telementor(63/840) 鏡筒をeBayでゲットしました。当方の嗜好からすると一流品過ぎて、関心の範囲外の存在でしたが、何度かのオークション終了を経て、そのたびに価格が下がってきたので心を動かされ(*^^*)、Buy it now、219.8ユーロ(27667円)送料89ユーロ(11203円)で落札しました。肝心のコンディションは、鏡筒に大きな傷はなく、延長筒もアイピースアダプターもついていましたが、problem with optics, fog and stainsというものでした。形から判断すると、1970年代中頃の製品のようです。ドイツの出品者で、送料が高いとは思いましたが、大きなものなので仕方ないところです。この望遠鏡は、1980年代の末頃、新婚旅行で行ったウィーンの街角の眼鏡店のショーウインドウに赤道儀、三脚セットで飾ってあるのを見た記憶があります。それから30年を経て、自分がその鏡筒を所有することになるとは少々感慨深いものがあります。
さて、鏡筒は2週間で到着しました。
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早速お手入れです。対物レンズは、汚れが1面2面(張り合わせなので2面しかありません)ともかなりひどいようでしたが、乾いたヨーロッパで過ごしてきた個体なので、カビはないようです。鏡筒の塗装面にも傷が少ないので、長いことしまい込まれていたものと思われます。永い眠りから覚めたら、東洋で頑張ってもらおうと思います。鏡筒の押さえねじ2か所を外せば、レンズセルが取り外せるはずですが、固着しているようで、鏡筒にプラスチックハンマーで少々衝撃を与えてもびくともしません。熱を加えたり、潤滑剤を注入したりと次の段階の手段も考えましたが、製造から40年以上たっているレンズなので、バルサム切れの心配もあり、強引な操作は避けることにしました。
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そこで、100均に行って、ご覧のような木材を購入し、先端にガーゼとマイクロファイバークロスを巻き付け、消毒用エタノールと無水エタノールで、接眼部側と鏡筒先端から清掃を試みました。マイクロファイバークロスには、黒い汚れがべったりとつくので、数度交換しました。またレンズ周辺は、綿棒にエタノールをつけて、交換を繰り返しながら、根気よく清掃しました。
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そのかいあって、拭きむらはあるものの、写真のように結構クリアになりました。
架台への取り付けは、アリ型アリ溝ですが、ビクセン規格より細身のため、M6ナットを厚みのある両面テープで貼り付け調整しましたこうすれば無加工で取り付けできます。
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オリジナルの照準金具では明るい星以外は導入しにくいので、その金具を利用して、ミザールのファインダー脚を取り付け、30mm8倍のファインダーを使用できるようにしました。
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さて、実視です。実は、これまでまともな6cm屈折を所有したことがありませんでした。
小学生のころ買ってもらった4cm屈折に始まり、自作10cm反射、自作13cm反射、C8とひたすら拡大を目指す望遠鏡人生だったので、6cm屈折で立ち止まることがなかったのです。
Telementorの星像は素晴らしく、きれいなエアリーディスクと薄いジフラクションリングが見えました。おとめ座γもOr9mmで分離し、とてもきれいでした。udo20号の過修正対物レンズ+クロマコアのとげとげした神経質な星像に比べて、素直でくっきりとした星像は見ているだけで楽しいです。これまで、シーイングの悪い日は、それを口実に晩酌早寝の生活でしたが、6cmなりの豊かな世界が広がっていることに気づくことになりました。

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五藤光学 8cm F15屈折のレストア [天体望遠鏡]

五藤光学の8cm F15屈折ジャンク品をYオクでゲットしました。ファインダーレンズがひどく汚れていましたが、さび、へこみなさそうで、主鏡はわりときれいそうなので、ついポチしてしまいました。22Kでした。
ひどい雨降りの日、格納用木箱入りの望遠鏡が届きました。
届いた望遠鏡を見てみると、ありがたいことに、大事な主鏡は、蓋に守られていたおかげで、第一面に点状のカビが2,3個あるだけでクリアでした。早速、ブロアで清掃後、アルコールでカビを除去しました。
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ひどく汚れていたファインダーのレンズは、取り外して清掃しましたが、このようにクリアになりました。
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接眼部にはK40がねじ込まれたまま、固着していました。このK40は、真鍮製のずっしりとした一品です。これを、ウォーターリングプライヤーを2個使って外してみると、この接眼鏡は接眼面に樹状のカビが少しありましたが、アルコールの清掃で除去できて、くもりもなく十分実用になる状態でした。
五藤のねじ込み規格は、一般的な36.4mmではないので、CATさんからT2-36.4mmリングを購入し換装しました。付属のK40は、36.4mm接眼部に2/3回転くらいはねじ込めるので、とりあえずは使用できます。
接眼部のラックピニオンギアが固着して、すごく重いので、分解してパーツクリーナーで古いグリスを除去し、新しいグリス(ミザール赤道儀用)を塗布し、スムーズに繰り出しできるようになりました。
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対物レンズの光軸を合わせ、
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ビクセン製100㎜鏡筒バンド(ポルタ用)の内側に、100均で買った、2mm厚コルク板を張り付けて内径を調節、ビクセン規格のアリ型に固定して、レストア終了しました。
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Hubble Optics 5-star 人工星を使ってみる [天体望遠鏡]

Kenko 125cの光軸調整で使えるやつであることが分かったHubble Optics 5 star 人工星について調べてみました。
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Hubble Opticsのホームページに解説があり、いくつかのレビューも紹介されています。その内容の一部を紹介します。
まず、望遠鏡と人工星の距離をどれだけとればよいかですが、望遠鏡の焦点距離(F)のM倍とされています。
ここでMは336×D(望遠鏡の口径;インチ)÷F(望遠鏡の口径比)の3乗で規定されます。
336は過去の文献で導き出された定数のようです。
10インチF5の望遠鏡なら、M=336×10/5×5×5=26.88となり人口星までの距離は、
26.88×10×5=1344(インチ)、約34mとなります。しかしこれはニュートン式反射望遠鏡の場合で、シュミカセでは事情が異なるようです。
シュミカセの8インチF10なら、Mは336×8/10×10×10=2.68であり
人工星までの距離は、2.68×8×10=215(インチ)になりますが、これは正しくないそうで、シュミカセの場合定数Mは、できれば24、最低20は必要だろうと文献的に指摘されているそうです。
つまりシュミカセでは、20×8×10=1920(インチ)、約48mが必要とされていますが、
これは完璧な点光源を与えるための理想的な距離であり、現実的にはこの70%、もっと現実的には、望遠鏡のピントが合う距離で光軸調整可能だろうと書かれていました。
実際、C8は15mで十分光軸調整可能でした。ミューロン180も15mで光軸調整可能でした。ただし、バックフォーカスの長いシュミカセは大丈夫ですが、ミューロンの場合は、写真のような長大な延長管(これでやっとピントが出ました)が必要でした。使用した延長チューブは計10個でした。
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どの人工星を使えばよいかは、視認できる一番暗い光源を使うことが勧められています。
ピンホールの大きさは、あくまでも理論的には、M×エアリーディスクより小さくなければならないそうです。ここでMは上で求めた定数であり、M×1.22×λ×Fが与えられた式になりますが、シュミカセC8の場合は、24×1.22×555nm×10=162504nm(ナノメーター;光の波長555nmで計算)すなわち162504×0.000001㎜=0.1625㎜(162.5μm)だそうです。この人工星の最小ピンホールは50μmで、十分な小ささを確保しています。自作する場合には、ピンホールの形と大きさを顕微鏡的に測定する必要がありそうです。
人口星ライトは、ジプロックの袋に入れて保管し(水分でさびるのを防ぐため)、また要らない星を遮光するマグネット片は、つけっぱなしにすると微小な磁性物質が放出され、ピンホールを損なう可能性があるので、使用時のみくっつけるようにとのことでした。
使用の実際ですが、望遠鏡は、光軸を変更するたびに視野内の人工星が移動するので、微動付きの架台に搭載しないと、とても不便です。
この人工星を使ってみると、光軸がわずかにずれていることはわかっていたけれども、それを修正できるシーイングのよい日がなかなか来ないため、ずっと不十分な状態でで使用していたミューロン180の光軸を十分に追い込めたし、十分に合わせたつもりだったC8 EXの光軸をさらに追い込むことができました。
これより大きな口径の望遠鏡は、架台の準備、人工星までの距離の確保など、屋内での作業が難しくなるのでセッティングに工夫がいると思います。

Kenko 125cの光軸調整をする [天体望遠鏡]

Kenko 125cをYオクで落札しました。情報が少ないのですが、接眼バッフル内に補正レンズを入れた、焦点距離1000㎜、F8のカセグレイン望遠鏡のようです。接眼レンズ3個(K20,K12.5,SR6)、天頂プリズム、KDS経緯台、三脚がついており、程度は良好、11.5Kでした。
一見光軸はあっているようなので、木星を覗いてみました。縞模様が見えますが、細部のうねりは見ることができず、像が甘く、締まりがない感じです。ミラーも汚れているので、分解、洗浄、再組立て、調整をすることにしました。
まず分解です。主鏡は裏面から3か所の薄い金属板の弾力で保持されており、ミラーセル、バッフルはしっかりした作りです。
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副鏡は大きく、堅固なバッフルに収まっています。カセグレイン式にしては合成Fが短いので、副鏡サイズが大きくなったものと思います。
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中性洗剤(メガネのシャンプー)で洗浄し、ブロアーで水滴を吹き飛ばします。洗浄で鏡面はきれいになりました。補正レンズ(3群3枚のようです)も若干曇っていたので、表面だけ清掃しました。
さて再度組み立てて光軸調整です。まず、副鏡が中央に位置しなければならないので、コンパスを使って、鏡筒内面から副鏡支持金具中央のねじまでの長さを均等になるように調整しました。鏡筒が真円であると仮定していますが、鏡筒先端の補強金具、主鏡セル取り付け部が十分に円に近いと思われますので、おそらくは大丈夫です。
Chesire型(十字線入りしか手元になかったのでこれを使いました)の光軸修正アイピースを使って、主鏡バッフルの先端円と副鏡の輪郭円が同心に見えるように、3本の押しネジ、3本の引きネジで調整しました。どの円が何に相当するのかを把握するのに若干苦労しますが、ずらして確認することを繰り返せば、それほどの困難はありません。
主鏡の傾きを調整した後は、副鏡の調整です。副鏡の中に映り込んでいる、いくつもの円を同心円になるように調整し、光軸修正アイピース本体の十字線の交点と、副鏡に映っている十字線の交点が重なっていることを確認しました。
このあと、実際の星像で副鏡の傾きを微調整します。シーイングのよい日がなかなかやってこなかったので、数日が経過しました。
ここで、ふと、長いこと玄関先の置物になっていた16インチドブソニアンと一緒にHubble Opticsから5star 人工星ライトを購入していたことを思い出しました。あまりに大きなドブソニアンに紛れてどこかに行ってしまいかねない小物でしたが、あることを思い出しました。使うのは今しかないでしょうということで、探し出して使ってみることにしました。取扱説明書はなにもなく、Amazonの商品説明だけの情報しかありません。外見はチープな100均にあるようなLEDライトです。このライトの価値は、五つの穴をあけた金属板がそのほとんどを占めるようです。
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10m以上の距離をあけて使用するようでが、我が家の廊下は約12mあり、使用可能でした。
望遠鏡本体をカスタム経緯台に固定し、12m先のライトのスイッチをつけてみると、はじめはピントがどこにあるのかわからず、何も見えません。家の中にあるだけの延長チューブを持ってきて前後させて、ご覧のような状態でピントが合いました。
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Or7mmで、焦点内像と焦点外像のドーナツ型、ジフラクションリングの偏った焦点像が円形に見られました。明るさの違う五つの人工星が見えますが、一番暗い人工星が今回の条件にはあっているようでした。付属のプラスチック小片はマグネットで、人工星の金属板にくっつけて不要な星像を隠すもののようです。副鏡の傾きを調整してドーナツの幅が均等になるように、焦点像のジフラクションリングが同心円になるように調整しましたが、シーイングの影響のない室内作業なので、とても楽にできました。光軸を調整すると人工星の位置がずれるので微動装置があったほうが効率よく作業できます。
結論から言うとこの人工星は使えます。なによりも、せっかくのよいシーイングの日を光軸修正に使わなくて済むのが大きいです。自作も可能だと思いますが、人工星の穴が正円でないと星像がゆがむので、けっこう作るのは大変かもしれません。このへんが、販売価格25ドルの価値なのだと思います。
付属の接眼鏡、K20とK12.5は、見かけはチープですが星像は良好で、視野も50°くらいあり使えます。SR6mmも、視野はとても狭い(モノセントリック6mmより少しだけ広い)ですが、星像は良好でこれも使えます。しかし、付属の天頂プリズムは不可でした。せっかく光軸を合わせたのに天頂プリズムを使うと、光軸がずれてしまい、星像にもアスが出て、明らかに悪化しました。ミザールカイザー型付属の天頂プリズムはレトロなコーティングなしですが、星像の悪化が少なく、こちらを使うことにしました。
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この鏡筒の欠点は、アメリカンサイズの接眼鏡では、焦点引き出し量が足らずに、天頂ミラーを使えないことです。ということでレトロな24.5mmサイズのK25(アストロ製)、Or7(ミザール)、Or5(ビクセン)を追加してラインアップが完成しました。
光軸調整後の見え方ですが、ビクセンED10cm屈折と比較して木星を眺めてみました。ややコントラストは悪いもののOr5mmでもピントの芯がしっかりあって、それなりに細かい模様も見えました。何よりも軽量で取り回しがらくで、KES赤道儀とのマッチングがよく、収まるところに収まった感じです。
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シーイングのよい夜には、円形のエアリーディスクとジフラクションリングがきれいに見えます。調整しがいのある鏡筒です。

20cmドブソニアンを修理する [天体望遠鏡]

ベランダ星野観望用に20cmドブソニアンがありました。
シーイングの悪い季節の、星雲星団観察用です。ビクセンの古い鏡筒(20cmF5、F4ではない時代のもの)を、笠井トレーディングの銀次用架台に載せていたものです。
この銀次用架台は、水濡れに弱く、合板がふやけて底板が破損していました。もとはといえば管理が悪く、長期間放置していたせいですが。
さて、めぼしい惑星が見えず、シーイングも悪い冬用に活用すべく、このドブソニアンを修理することにしました。
まず、汚れていた主鏡と斜鏡を洗浄しました。ビクセンのメッキとコーティングは丈夫で、往年の輝きを取り戻しました。洗浄した鏡面の水滴でできる乾燥ムラは、ドライウエル(使用期限があるならとっくに切れていそうな古いものですが)を流してやるときれいに乾燥できました。
接眼部をグリスアップし、主鏡と斜鏡をとりつけ久しぶりに十分に時間をかけて光軸調整を行いました。
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ファインダーは、パノラマ4000のジャンク品(左右の光軸をどうやっても調整できないのでジャンク品、500円)を分解したものです。厚さ3mmのアルミL金具で脚部を作り、接眼部を分解して十字線を入れました。細い糸を斜めになった視野環に貼り付けるのが難しく、髪の毛ほどのワイヤーを使いましたが、けっこう太くてたくましい十字線になってしまいました(^^;)。
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このファインダーでは、カシオペア座全体がらくに入るので、ジャンクでないパノラマ4000とPocket Sky Atlasで対象の導入をします。同じ光学系でも、双眼鏡のほうが暗い星まで見えるような気がしますが、双眼鏡と同じ視野のファインダーだと星の配列を見つけやすく、対象の導入がとても楽になりました。
角度の調整は、垂直方向はアルミ製のアングル材を組み合わせビスの押引きで調整し、水平方向はビス2本で調整するようにしています。軽量、低倍率、広視野のファインダーなので、これで間に合っています。
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耳軸はステンレスバンドを巻いて補強しました。
破損した底板は、厚さ12mm の合板2枚で製作し、笠井さんから購入してあったドブソニアン用のローラーベアリングを間にはさみました。さらに底面に2×4の端材をT字型に接着して補強しキャスターを付けました。
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水濡れ対策にニスを塗布して修理終了です。この望遠鏡は接眼部が36.4mm仕様なので、広視界用アイピースはレトロなエルフレ32mmです。星像は結構シャープで、積み下ろし、設置、撤収が楽なので、山小屋へのプチ遠征にも持ち出しやすいです。

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