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C8の当たりはずれ(その4)調整したはずれC8実際の見え方 [シュミカセ]

はずれC8で、エアリーディスクのまわりを第1干渉環が均等に取り巻くように、人工星の星像を調整することが、わりと簡単にできるようになりました(慣れたのと、一度合わせてしまえば、ぶつけない限り微調整で済みますから)。人工星による光軸調整で懸念されるのは、ほとんど水平の向きで光軸を調整するため、鏡筒の向きによって光軸にずれが生じるのではないかということと、15mという近い合焦位置から実際に使用する無限遠までミラーを大きく動かすことで光軸がずれないかということです。天頂部の恒星を観察すると、このC8の場合、これらに起因する光軸ずれはほとんどないようです。ピント合わせの際に収束してゆく同心円に偏りがある(片側がけば立つ)のは気にいらないところですが、ピントが合った時のエアリーディスクは小さく、そのまわりのジフラクションリングも、気流に千々に乱されながらも、ほぼ均等に分布しています。実際の揺れ動く恒星の焦点像でここまで副鏡の調整をするのは、かなり困難だと思います。
また補正板の回転も試してみましたが、人工星の星像を見る限り、最初からの位置がベストなようで、この鏡筒では有効ではありませんでした。
このように調整した、はずれC8の実際の見え方ですが、かなりシャープになった印象です。安定して性能を維持できる見込みになったので、達成感がうれしくて、最近のベランダ観望は、このC8と相性の良いEM-1赤道儀の組み合わせばかり使っています。
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今シーズンの木星面も、一瞬の好シーイングの時にはかなり詳細に観察できます。コントラストは今一つで、バックグラウンドもやや明るいですが、よく見ると細かいところまで解像しています。今年は、大赤斑が縮小し、色もオレンジ色で、コントラストが悪いC8では見にくいのですが、気流が落ち着いた一瞬には、SEBの切れ込みのなかにその姿を見ることができました。
同焦点化したアイピース群の使い勝手も良好です。雑多な出自なので、それぞれ形が違いますが、暗いところでも見分けやすいという面もあります。ピントノブを少ししか回さなくて済むので、ミラーシフトもわずかです。
シュミカセ(F10)だと、PL6.4mmとPL10mmの使用頻度が高くなります。これよりも短い焦点距離が使える日には、なかなかめぐりあえません。

C8の当たりはずれ(その3)はずれC8を徹底調整する [シュミカセ]

オレンジ色のC8(はずれのC8)は、30年前、社会人になった記念に購入したもので、焦点内外像で光軸を合わせようとしても、焦点に収束させていくにつれて焦点内外像の同心円の片側がけば立ち、高倍率で見ると焦点像にコマがあるように見える鏡筒です。以前、天頂近くの恒星を辛抱強く観察し続けて、焦点像が最小となるように調整したところ、かなりの良像を示す潜在力はあることが分かったけれども、それは面倒なので、また使わなくなったという歴史があります。
この鏡筒の調整に必要な良いシーイングの夜はそうたびたび来るわけではないし、手間を考えると、焦点内外像が完全な同心円になって調整が容易なC8EXばかりを使うのは当然の帰結でした。
さて、5-star人工星の使用感が良いので、これを使って、はずれのC8を調整してみることにしました。距離は15mで、使用したのは、一番暗い人工星です。
まず、焦点内外像です。同心円のドーナツは、片側がけば立つように収束してゆくのは実際の星像と同じです。なかなかうまく写せませんが…(´_`)。
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さらにピントを合わせ、焦点像を400倍で見てみると、コマがあるように見えますが、これを細かく観察すると、ジフラクションリングをともなうエアリーディスクが認められ、周囲に散乱した光が一方に偏っていることがわかりました。そこで、この散乱した周囲の光芒がエアリーディスクの周囲に均等に分布するように副鏡を微調整すると、エアリーディスク、ジフラクションリング、その周囲の光芒という星像を示すようになりました。この調整はかなり微妙で、調節ねじの回転は30°もないくらいだと思いますが、実際の像を見ながらなので、それほどの困難はありません。この状態に調整してから焦点内外像を見てみると、焦点内外像は中心穴がやや偏ったドーナツでした。やはり主鏡がわずかに傾いているという推測が裏付けられました。
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はずれC8の星像を、あたりの十分に調整したC8EXと比較してみると、はずれC8は、若干エアリーディスクに変形があるように思いますが、かなり近似した星像です。実際の夜空では、ここまで見られる気流の安定した日はなかなかないので、実際の恒星でこのレベルの調整は困難だと思います。30年所有していても到達できなかった調整を可能にしてくれたこの人工星は、やはり使えるやつでした。補正板回転も試してみましたが、オリジナルの位置がベストで、この鏡筒では有用ではありませんでした。作業時間は、徹底調整といっている割には短時間で、セッティング時間も含めて30分程度でした。
以上のことから以下の結論に至りました。
結論1)焦点内外像の同心円では十分に光軸を合わせられないC8が存在する。
結論2)そのような鏡筒でも、焦点像を高倍率で観察することで十分に光軸を追い込める。
結論3)実際の夜空で十分に良いシーイング下の恒星像を得ることは困難なので、人工星は有用である。

C8のあたりはずれ(その2) [シュミカセ]

最近、シュミカセの人気が落ちているような気がします。一時期ミードの国内販売が中断していましたし、ヤフオクでもC8の落札価格はあまり高くないようです。
そんなある日、三ッ星さんのホームページで、C8EXが42000円で出ていました。四半世紀前の1/4です。C8EXです。まよわず注文してしまいました。
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届いたC8EXを使用してみたところ、焦点内外像は完全な同心円になり、わずかにアスがあるものの、エアリーディスクとジフラクションリングが容易に見えるのです。光軸修正があまりにも容易なので、拍子抜けするほどでした。さっそく、フードを自作し、結露対策にしました。
わずか2個体の経験ですが、C8の毀誉褒貶の原因は、この辺りにあるのではないかと思いました。

C8の当たり外れ(その1) [シュミカセ]

セレストロンのC8は、毀誉褒貶の多い鏡筒だと思います。木星を見ても2本の縞しか見えない、ジフラクションリングなどめったに見られない、という意見の一方で、光軸を合わせ温度順応を十分にすれば、口径相応の良像が得られるという意見も多く聞きます。ネットで有名な、吉田さんの望遠鏡ランキングでも、決して低くない70点を獲得しています。
当方が、社会人になったころ、セレストロンC8が、光洋からビクセンの販売になって、値段が大幅に下がりました。
社会人になった記念にと、オレンジC8(補正板のコートがなく、鏡筒バンドからアリ型アリ溝の取り付けになった時期の製品)を購入しました。168000円でした。今から26年ほど前のことです。
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今のように光軸修正や、温度順応の情報がなく、集光力は十分でも惑星面の微細な構造は見えませんでした。ときおりOr9mmで、木星の大赤斑が見えましたが、星像がぼてっとしてシャープではなく、20年間くらいそんな物だと思って使用していました。インターネットでシュミカセの情報が多く得られるようになって一念発起し、このオレンジC8でどこまで見えるのかを半年以上トライしてみました。
このC8は、焦点内外像を同心円に合わせようとすると、同心円の片方にけば立ったようなボケが起こる症状を抱えていました。同心円のリングを明瞭にしようとすると、暗点が中心から偏位してしまいます。ロンキーテストをすると、どちらの状態でも縞はまっすぐなようです。
しようがないのでシーイングのよい幾晩かに辛抱強く、天頂近くの恒星像がいちばん小さくなりジフラクションリングのかけらのようなものが星像周囲に均等になる位置に副境を調整してみました。玄関横の日の当らない庇の下にそっと保管し、衝撃を与えないように取り扱いました。
その結果、数日後に訪れた、最高のシーイングの夜には、これまで見たこともないようなシャープな土星像を見ることができました。Or4mmで500倍にしてみても像は崩れません。
感激する一方で、このコンディションで鏡筒を維持することは、固定して使用するのでなければたぶん無理だろうとも思いました。一方で、ドーム内に設置すると、良好なシーイングに遭遇しにくくなることはC11の経験から身にしみていましたし。思うに、主鏡の取り付けが、メーカー公差範囲内で傾いていたのではないかと考えています。
この取り扱いにくさ、補正板への結露しやすさから、この達成感を得た後には、使用頻度は減ってしまいました。

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